女性は50〜52歳(平均)になると閉経を迎えます。
閉経とは卵巣の機能が衰えて排卵や女性ホルモンの分泌がなくなることです。
閉経になるともう産婦人科とは縁がなくなると考えられている方が少なくありませんが、実際は閉経後の方こそ産婦人科的管理が充分に必要とされます。
その理由として、主に次の4つが挙げられます。
  • (1)子宮癌
     閉経後、子宮と卵巣は役目をしておりませんが癌は発生します。最低、一年に一回の細胞診による子宮頚癌(子宮の入り口の癌)願わくば子宮体癌(子宮の中の内面の癌)の検査を施行して下さい。子宮癌の検査は他の臓器の癌検査に比較しても、膣があるためにはるかに簡単にしかも正確に施行できます。また、卵巣癌は子宮癌より頻度は少ないですが、下腹部にぽつんとある臓器ですので子宮癌より発見が遅れる癌です。子宮癌検査のように直接細胞をとるわけにはいきませんが、膣からの超音波の検査が間接的な卵巣癌検診になります。
  • (2)更年期障害
     閉経前後に卵巣からの女性ホルモンの分泌が少なくなってくると、その出方に個人差はあるものの種々の症状が出てきます。まず、ほてり、発汗異常、手足の冷え、めまい等の自律神経失調症状、不眠、いらいら、鬱状態等の精神神経症状、その他頭痛、手足の痛み。このように更年期障害は多彩な症状がでます。これらの症状は数年経って体が女性ホルモンのない状態に慣れてくると少なくなってきます。しかし長い間こういった症状に悩まされている方も少なくありません。
    閉経後の方には、「更年期指数(SMI)」の自己判定をお勧めします。
  • (3)骨粗鬆症
     男性は50歳以後も骨密度の減少は緩徐であるのに対し、女性は50歳を過ぎると、急激に骨密度が減少します。これは閉経による女性ホルモンの減少が原因です。骨粗鬆症の大半は、閉経後の女性です。
  • (4)コレステロールの上昇
     閉経になると女性はコレステロールが上昇してきます。そのため閉経になると脳卒中や心筋梗塞のような命に関わる成人病にもなりやすくなるのです。
 このように閉経、即ち女性ホルモンがなくなることが単に生殖機能のみならず重要な体の機能に悪影響を与えることがわかってきました。
  今までの考えでは、自然の摂理で閉経になったのだから、症状が出てもあまり治療をせず自然の流れに任せるという場合が多かったようです。
 しかし、最近は上記のように女性ホルモンの欠乏が種々の弊害をもたらすことが分かってきましたので、積極的に治療するようになってきました。
 これらの症状に対する治療法としては、以下の3つが挙げられます。
  • (1) 対症療法
     症状に対してそれぞれ薬を飲む方法です。即ち、自律神経失調症の症状が出れば自律神経失調症の薬、不眠があれば、睡眠薬、骨粗鬆症があれば、骨密度を高める薬といった具合です。多彩な症状が出ている方は、たくさんの薬を長期に飲まなければなりません。
  • (2) 漢方療法
     漢方療法には種々の成分が含まれていますので、多彩な症状を示す更年期障害に有効な場合があります。
  • (3) ホルモン補充療法
     日本においてもここ5年定着してきたいい治療法です。更年期障害は女性ホルモンの欠乏に起因しているわけですから、女性ホルモンを補充してやれば、きわめて合理的な治療法になるわけです。しかし、女性ホルモンは女性ホルモンに関係している子宮体癌と乳癌の発生率を高くすると、長い間あまり根拠もなく言われてきました。ところが最近の研究により、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという二種類の女性ホルモンを併用すれば逆に子宮体癌の発生率を半分以下に減少させることがわかってきました。乳癌は今のところ女性ホルモンの投与の有無に関わらず乳癌の発生率は変わりがないというのが、現在のところの世界的な見解です。一番心配された癌の発生率は問題がないということです。
     女性ホルモンは、更年期障害の種々の症状を軽減するばかりでなく、女性の骨粗鬆症にとってもっとも有効な薬です。また、血中のコレステロールを下げ、動脈硬化を防ぎ心筋梗塞等の命に関わる成人病の発生率を下げます。また、老人性痴呆(ぼけ)の予防、治療になる可能性も示されています。
※更年期障害のある方、骨粗鬆症が心配な方、コレステロールが高いといわれている方、お気軽にご相談下さい。

更年期指数(SMI)の自己判定

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症状
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2,汗をかきやすい
3,腰や手足が冷えやすい
4,息切れ、どうきがする
5,寝つきが悪い、眠りが浅い
6,怒りやすく、イライラする
7,くよくよしたり、憂うつになる
8,頭痛、めまい、吐き気がよくある
9,疲れやすい
10,肩こり、腰痛、手足の痛みがある